BIMが必要とされる理由は、大きく4つにまとめられます。
この記事ではその4つの理由と、BIM導入の課題について詳しく解説します。
目次 |
1. 建設プロジェクトの効率化とコスト削減
BIMは、従来の2D CADとは異なり、3Dモデルに建物の形状や属性情報などを統合的に管理する手法です。これにより、設計図の作成や確認作業、施工計画の作成、コスト積算など、建設プロジェクトに関わる様々な作業を効率化することができます。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 3Dモデルによる設計の干渉チェック機能による手戻りの削減
- 施工計画のシミュレーションによる工程の最適化
- コスト管理の精度向上
これらのメリットにより、建設プロジェクト全体の効率化とコスト削減を実現することができます。
2. 情報共有の促進とコミュニケーションの円滑化
BIMは、3Dモデルを介して、建築物の情報を関係者間で共有することができます。これにより、設計者、施工者、建築主など、プロジェクトに関わる全ての関係者が同じ情報に基づいて作業することが可能になります。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 設計図や仕様書の変更をリアルタイムで共有できる
- 3Dモデルを用いた打ち合わせによるイメージの共有
- 問題点の早期発見・解決
これらのメリットにより、情報共有の促進とコミュニケーションの円滑化を実現することができます。
3. 建物の品質向上と維持管理の効率化
BIMは、建物の情報を詳細に記録するため、竣工後の維持管理にも活用することができます。具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 設備の故障予測や予防保全
- 改修工事の計画・シミュレーション
- 建物のライフサイクルコストの削減
これらのメリットにより、建物の品質向上と維持管理の効率化を実現することができます。
4. 設計業務効率化による省力化
BIMは建築分野において省力化、効率化に大きく貢献できるツールです。
【日本の建築業界をとりまく課題】
・少子高齢化
日本全体の少子高齢化社会の影響は、建築業界にも出ており、設計業務を行う人材も不足している状態です。
出典:全国住宅産業協会 「建築士法の一部を改正する法律等の施行について 」より抜粋
国交省もこの現状を重く受け止め、建築士人材を継続的かつ安定的に確保するため、建築士法の一部を改正しています。
・2024年4月より、建設業での労働基準法における「残業上限規制」の法規制の施行
人材不足が課題となっている中、更に2024年4月からは建設業の労働時間の上限規制が施行され、違反すると罰則が適用されることになります。
このような人手不足がますます深刻化する日本の建築業界において、BIMは生産性を向上するために欠かせないツールとなりつつあります。
【BIMを活用し、業務効率化できた成功事例】
出典:「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業 効果検証・課題分析事例集 令和5年3月28日版」より一部抜粋
「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」の 評価事務局では、BIMを活用した効果検証を行っており、様々なモデル事業において作業量削減を実現できていることが報告されています。
このことから、BIMを活用することで業務効率化を促進し、省力化につなげることができます。
BIM導入の課題
BIMは多くのメリットがある一方で、導入には以下のような課題があります。
- 導入コスト
- 人材育成
- データの互換性
- 関係者間の連携
これらの課題を克服するために、政府や業界団体は様々な取り組みを進めています。
まとめ
BIMは、建設プロジェクトの効率化、コスト削減、情報共有の促進、コミュニケーションの円滑化、建物の品質向上、維持管理の効率化など、多くのメリットをもたらす手法です。今後は、BIMの導入がさらに加速していくことが予想されます。
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